私は知らなかった
私の心が海だったってこと
知らずに生きてきた
知らなくても生きてこれた
底にもぐるのが怖すぎて
見ないように生きていた
そこは真っ暗だ
その深さは計り知れない
怪物に遭うかもしれない
暗すぎて迷うに決まっている
だから怖くて
絶対に見ないようにしていた
あなたに出会った
あなたが私に教えてくれた
君の心は海なのだと
深い深い海なのだと
「一緒に潜ろう」
あなたは私にそう言った
「本当の君を見つけに行こう」
無言のままあなたは私の手を取った
2人で硬く手を繋ぎ
私という深淵なる底をめがけ
潜った
2人一緒に硬く手を繋ぎ
そうしてようやく行き着いた
私の心の
どん底
海の底の底には
本当の私が眠っていた
あなたが連れて来てくれた
私の心のどん底
そこには
言葉にならないほどに
静かに光る私が
眠っていた
目を覚ましたいと懇願していた
美しい私がそこに
どん底にこれてよかった
あなたが連れてきてくれた
2人硬く手を繋いで
あなたがずっと離さないでいてくれた